いんげん豆がおしえてくれたこと
祖母が亡くなる直前、母に渡した本です。
祖母も母も家庭がままならないワーママでした。
祖母は戦前〜戦後にかけて、教員をしながら四人の子供を育てました。
おんぶしながら、おむつからしみ出すものの温度を感じながら働いていたそう。
国民学校時代の話は、聞いても答えてくれませんでした。
仕事と家庭と、多くのしがらみ、理不尽、不便を飲み込んで過ごしたのだろうと思います。
祖母は子供たちに、とにかく学べ学べと厳しかったそうです。
晩年は一人で生きることを選び、穏やかにこの世を離れました。
私が中学生の頃でした。
祖母の子たちはそれぞれ個性がとても強く、まるで遊園地のアトラクションです。その一人である私の母。
母は常に学んでいないと気が済まない、分かったことはすぐ発信したいタイプ。話の脈絡とは関係なく急に、「ススキは英語でパンパースよ!覚えて!肺がんはラングキャンサー!」って言うタイプ。ビックリするけど、そのせいか不思議と覚えましたね…パンパース…
退職後もバリキャリで全国を飛び回っていました。コロナ禍のために、今は飛び回れていませんが…
学力で悩む私の思いがなかなか分かって貰えずに苦労しました。小さい頃からくもんの宿題が溜まって怒られ続けていました。
母は、学ぶことで仕事を勝ち取ってきました。仕事に関してはプロなんだなぁ、と話を聞いていて感じます。長い長いマシンガントークにはその業界の楽しさや苦しさを面白おかしくぎゅうぎゅう詰めで話してくれて、それが結構面白い。
しかし家庭的にはかなり無理をしていたと思います。苦しんで病気になりながら、経済的な大黒柱という重圧と子育てに精神を疲弊させながら、分かってほしい人に分かってもらえず生きるのが当たり前でした。
厳しい世界で生きるのが当たり前だったから
トップダウンで私を厳しく仕込まねばならぬ、そう思っていたのでしょう。
祖母も、母に厳しく仕込んで来ました
女性の自立、自律を強く意識してのことでしょう。
しかし
祖母の晩年の考えは、変わったのだと思います。
本の話に戻ります。
著者はフランス人の方。元教員の方です。転職して自分のライフスタイルを模索し、料理人、エッセイストとしてもお仕事を多く残されています。
教員生活はあまりよいものでなかったそう。
多すぎる制約から離れ、仕事も生きる土地も変えて見つかったものの良さを書いている本です。
丁寧に暮らしに関わるモノを選び、食べて暮らすことを通して、自分を大事にすることの良さが描かれています。
自分を損なわない生き方を選んでいいんだ、と励ましてくれるような本なのです。
自分を大事にする方法のヒントが書かれてある本です。
まぁ、本の中で紹介されているものはお高いし、
私には到底手に入れられないなぁ、入れない世界だなぁと思いながらも、
でも よいものは知識として知っておくだけでも、いつか出会えたら嬉しいなぁという希望になると思うことにしています(笑)
自分をケアするのには気力がいる。手間暇が必要だし、不要ならなるべく避けたい。
けれどそれは必要なコストであることを、
私は3人の子育てを通して、より強く感じました。
感じたところでちゃんと出来ているかは怪しいですが!
祖母は、母にそれを伝えたかったのでしょう。
祖母の生き方は当時マイノリティでした。しかし、自由度が高かった。その良さを知ったうえで、自分の子である母に、もっと自分自身を大事にしてほしいと思ったのでしょう。
本が子供でなく、孫に刺さるとは、思いもよらない事だったかもしれません。
自分のケアの方法を、親からあまり教えて貰えなかったとしたら。自分で探したり、こういう本で見つけるのもいいなぁ、って思います。
それと本筋からは逸れますが、教員という仕事が自己犠牲のうえに成り立つのは今も昔も変わりません。それを変えようとしている方々を心から応援しています。
勿論仕事熱心なのは有り難いこと。
また、余暇を楽しむってことは、とても素晴らしいことです。