未来のだるまちゃんへ
かこさとしさん。からすのパンやさん、だるまちゃんシリーズを読んだことがある方、多いかなぁと思います。
お亡くなりになった年に川崎で「かこさとしのひみつ展」という美術展がありました。
https://www.kawasaki-museum.jp/exhibition/12037/
これは建物も展示企画も素晴らしい素晴らしい内容でつい書き出してしまったけれどやめておこう、本の紹介がしたい。
その時に買った本です。
かこさんは戦時中、敗戦を多感な10代後半に経験しました。
あの時のテンアゲな雰囲気が無かったかのような戦後。
終わった事はもういいじゃんリングフィットで身体鍛えようぜ的な先生。
自分の思想や周囲の大人の無責任な発言に呆れ、敗戦後は自分を一旦死んだものとみなしてその後は余生と決めたとの事。
せめて人間らしい余生にしたいと思ったとの事でした。
会社勤めと、川崎セツルメントという医療や福祉を提供するボランティア活動を両立させつつ、絵本を書き続けてこられました。
時には子供の行動観察。へのへのもへじや、子供に流行っている絵描き歌がどう変化していくのかをメモ魔になって分析しまくり。
作った紙芝居などは子供の反応を見て、盛り上がりに欠けた部分をチェックしていたと。
かこさとしさんが描く作品の主体が、子供なんですよね。子供に「ほら面白いから読め」とか、「ありがたい話だから覚えろ」じゃないんです。
いかに子供が楽しむかを狙っているカワイイ方なのです。
子供が寂しい、不安がっていることについて、大人の事情はこうなんだよって絵に描いて伝えている方なのです。
そして、子供が感じる不条理に寄り添う方なのです。
大人が、はじめから正しい道を用意して最初からいいことだけやらせていれば全部よくなるというのは思い違いも甚だしい。
人間は間違えるものだし、僕も間違えた
と本の中で仰っていて
いつも子供と過ごす身としてはとても救われるし、ヒヤリハットもあります。
私から子供への伝える方法について、頭ごなしになってしまったり、時には振り返る余裕すらない時もありますから。
先日読んだ別の本には、河合隼雄さんが「子育てをどうやったらいいか僕だって分からない」と仰っていたと書かれていました。
偉大な方々の言葉って、困難な状況の中で読むときほど、結構優しいなぁって思います。